埼玉県越谷市にある
フリースクール

中学生の不登校の現状

出典:令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果|文部科学省
令和5年度(2023年度)の文部科学省の調査によると、全国の小中学校における年間30日以上の不登校児童生徒数は過去最多の346,482人に達しました。これは前の年より約4.7万人(15.9%)の増加で、11年連続の増加傾向となっています。
内訳を見ると、小学生が130,370人、中学生は216,112人で、中学生の不登校率は6.7%(14人に1人)、10年前の2.2倍に達しました。
不登校の増加の背景にはコロナ禍による生活環境の変化、教員不足や現場の支援体制の限界、いじめの増加など、多様な要因が絡まり合い、複合的に影響していると言われています。
親の意識の変化と文部科学省の方針
また近年の保護者の間では「学校に通うことが絶対ではない」といった考え方が急速に広がっており、かつての「学校への復帰を目指すのが最優先」という価値観から「それぞれの子どもに合った学びの場を選ぶ」という考え方にシフトしています。
さらに文部科学省も令和5年3月にとりまとめた不登校対策「COCOLOプラン」の中で、学校復帰のみにこだわらず、すべての生徒へ学び場を確保し、学びたいと思ったときに学べる環境を整えることを掲げています。
埼玉県、越谷市の不登校への取り組み
埼玉県および越谷市で行われている、主な不登校支援策・公的な取り組みを紹介します。
【埼玉県教育委員会】「総合的な不登校対策」
埼玉県教育委員会は平成18年(2006年)に策定した「総合的な不登校対策」に則り、取り組みを行っています。
- 「不登校の子供たちとその保護者を支援するためのサイト」の運用
- 児童生徒支援ガイドブック、長期欠席者等の支援状況確認リストなどの作成
- スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置
- スチューデントサポーター(心理学や教育学などを履修する大学生等)派遣事業 など
【越谷市教育委員会】さわやか相談室
越谷市内すべての小中学校に、教室に入ることが難しい児童生徒が学習できる「さわやか相談室」を設置しています。学校相談員やスクールカウンセラーと相談できるスペースと個別に学習できるスペースに分かれています。
【越谷市教育委員会】教育支援教室(適応指導教室)「おあしす」

適応指導教室とは、主に小・中学校の不登校の児童生徒を対象とした、自治体の教育委員会が運営する公的な支援施設です。
越谷市の適応指導教室(教育支援教室)の「おあしす」は、不登校児童生徒に居場所を提供し、学習の支援や集団活動を通して、社会的自立に必要な力を身につけることを目指す教室です。
- 対象:越谷市立小中学校に在籍する小学校5年生〜中学校3年生
- 場所:越谷市教育センター内など、市内4か所
- 連絡先:越谷市教育センター 048-962-9300 / 048-962-8601
【越谷市教育委員会】オンラインおあしす

参照:教室以外の学びの場 | 教育センター 越谷市公式ホームページ
上記の教育支援教室「おあしす」のオンライン版として令和7年5月に開設されました。自宅からパソコンやタブレットで参加します。
クイズ、イラストや動画づくり、プログラミングなど、オンライン上で友だちや指導員と交流し、自信をつけることを目指します。
- 対象:越谷市立小中学校に在籍する小学校1年生〜中学校3年生
- 開催日時:毎週水曜日(上記パンフレット参照)
- 連絡先:越谷市教育センター 048-962-9300
越谷不登校親の会
越谷市教育委員会と連携し「特定非営利法人越谷らるご」が月に1回、開催しています。
不登校児童生徒の親による、解決ではなく共感を大切にした、情報交換・交流の場です。会員でなくても、誰でも参加できます。
- 対象:不登校児童生徒の親
- 開催日時:毎月第1日曜 14時から16時
- 開催場所:越谷らるご事務所(〒343-0042 埼玉県越谷市千間台東1-2-1 白石ビル2F)
- 参加費:正会員200円 / 一般500円
参照:不登校の親の会/ひきこもり親の会 | NPO法人越谷らるご
フリースクールとは
フリースクールは、主に学校に通えない生徒に対して、多様な学びの場や居場所を提供する民間(非公共)の教育施設です。学校のような決まったカリキュラムや時間割に縛られず、子どもの個性やペースを尊重する自由な環境で、心身の健康や自己肯定感を育むことを目的としています。
設置や運営の主体は学校法人、NPO法人、一般社団法人、個人経営など様々で、各フリースクールごとに理念やサービス内容が異なります。
主に不登校の小中学生が対象で、近年は高校生に対応している施設も増えています。
先述のとおり「学校復帰」よりも「生徒に合った多様な学びの場」へのニーズが高まっている現代では、フリースクールが重要な役割を担うようになっています。
2015年に文部科学省が行った調査では、当時の時点ですでに全国で474の団体・施設が確認されていました。
フリースクールの学習カリキュラム
フリースクールは運営する施設ごとにカリキュラムや学習方法が多様ですが、おおよそ以下のように分類できます。
- 学校教科の学び直し・個別指導
主要科目(国語・数学・理科・社会・英語)を中心とした、子どもの理解度やペースに合わせた個別指導 - 体験学習・ものづくりなど
工作や料理、農業体験、自然観察、アート活動など、五感を使った体験学習・グループ活動 - 社会性を育むコミュニケーション
コミュニケーション力や協調性、自己肯定感を向上させる対話、グループ活動、共同作業 - カウンセリング・心理的支援
専門スタッフ(スクールカウンセラーなど)による心のケアや悩み相談(保護者面談を含む) - 進路支援
進学や就労に向けた具体的な相談や準備指導、職場体験、ボランティアへの参加
学校(義務教育)との違い
フリースクールと公立・私立の学校(義務教育)との主な違いは以下のとおりです。
項目 | フリースクール | 学校(公立・私立) |
---|---|---|
設立主体 | 民間団体・NPO法人・企業・個人など | 国・自治体・学校法人 |
学習内容・ カリキュラム | 子ども自身が学ぶ内容やペースを選べる。体験学習も重視される | 文部科学省の学習指導要領に基づく決まったカリキュラム |
時間割・ 通い方 | 毎日の通学は必須ではなく、出席日や 活動内容を柔軟に選べる | 時間割や出席義務があり、原則毎日登校する |
クラス・ 人数 | 少人数制や個別指導が多い。年齢が異なる子どもが一緒に活動する | 学年ごとにクラス分けされ、集団授業が基本 |
出席扱い | 在籍校と連携し一定条件を満たせば「出席扱い」になる | 正式な出席日数として認められる |
学費 | 有料(運営団体によって異なる) | 公立は無償、私立は有料 |
生活ルール | 子どもたち自身が話し合ってルールを決めることも多い | 校長や教職員が校則を決め、生徒が従う |
入学資格 | 設けていないことが多い | 年齢(義務)・学力などの能力 |
適応指導教室との違い
先述の「おあしす」のような適応指導教室は、不登校の小中学生の居場所の提供や、学校復帰のための支援を行う施設で、各市町村の教育委員会が無料で運営しています。
一日のカリキュラムが決められており、学校と似た環境で過ごすことが多いです。
また適応指導教室は学校や教育委員会との調整や申請が必要で、利用開始までに時間がかかることもあります。フリースクールは比較的早く通い始められます。
学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)との違い

出典:学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧 :文部科学省
学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)は、文部科学大臣が指定した「学校」です。不登校生徒に配慮し、特別な課程を編成して教育を行います。
令和7年(2025年)現在、全国で小学校12校、中学校40校、高校11校が設置されており、公立と私立の割合は3:2程度です。
学びの多様化学校は正式な学校なため、通常は在籍校からの転校手続き(編入)が必要になります。フリースクールは在籍校に籍を置いたまま通学します。
もちろん通学することで出席扱いとなり、卒業資格も取得できます。フリースクールは後述する手続きを行うことで出席扱いと認められる必要があります。
フリースクールの特徴・メリット
以下ではフリースクールの特徴や、通うことで得られるメリットを紹介します。
それぞれのペースで学び直せて、遅れを取り戻せる
フリースクールは学年や時間割にとらわれず、子ども一人ひとりの学習の進み具合や、理解度に合わせて、学べます。多くのスクールでは個別指導が取り入れられており、長く学校を休んで勉強が遅れた場合でも、無理なく学び直せます。
遅れを取り戻せれば、本人の安心感や自信になりますし、進学の選択肢が広がります。
多様で特色ある学校の中から選べる
繰り返しになりますが、フリースクールは学校ではないため決まった学習カリキュラムがなく、それぞれが独自の教育方針やプログラムを持っています。
例えば自然体験や芸術活動が中心のところもあれば、ICT(情報通信技術)や英語など、専門性の高い学びに強いところもあります。
フリースクールは多くの選択肢の中から本人の関心や希望に合わせて選べるので、主体的に学習したり、体験に参加できます。
在籍中の学校の出席扱いになる(条件あり)
フリースクールは国が定める「学校」ではなく、卒業しても学歴にはなりません。そのため、原則は、現在の学校(在籍校)の卒業認定を目指すことになります。
フリースクールへの通学は、一定の条件を満たしていれば、在籍校の出席日数として認められ、卒業要件をクリアできます。
- 保護者と学校の間で十分な連携・協力関係が保たれていること
- 校長が適切と判断した施設であること
- 施設に通い、相談・指導を受けること
- 学習の内容が学校の教育課程に照らして適当であり、学習の評価を適切に行い本人や保護者に通知すること
参照:「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日:文部科学省
冒頭の令和5年度の文部科学省の調査によれば、学校外の機関で指導等を受け、指導要録上出席扱いとなった生徒数は38,632人(前年度32,623人)で、不登校生徒の約11%がフリースクールなどで出席扱いと認定されています。
生徒の新しい居場所になる
フリースクールは、学校や家庭とは異なる「第3の居場所」です。先生やスタッフ、同じ境遇の子どもたちと関わりながら、安心して過ごせる環境が用意されています。
友だちや仲間ができたり、興味や趣味を通じて他者と交流できるなど、家庭だけでは得られない刺激や経験ができ、前向きに日々を過ごせるようになります。
自己肯定感や自信が育まれる
自分の好きなこと・関心があることをベースに学習や体験を行うので、小さな成功体験を積みやすく、自己肯定感や自信が自然と育まれます。
また周りから否定されることもないため、本来の自分を出せるようにもなります。
フリースクールの選び方
続いて子どもに合ったフリースクールはどのように選べば良いのか、意識したいポイントを紹介します。
本人が安心して通える環境か
スタッフや他の生徒と良好なコミュニケーションが取れるか、施設内で安全に過ごせるか、「ここなら通いたい」と思えるかを、本人と保護者でしっかり感じ取ることが大切です。
そのためにも見学や体験入学で実際の雰囲気を確認することが重要です。
目的に合った指導やカリキュラムが用意されているか
そもそもフリースクールに通う理由を明確にし、そのフリースクールに通うことで目的を達成できるかを冷静に判断することも大切です。
学び直しで進学できるくらいまでに立て直したい、家庭以外の社会とのつながりを作ることに重きを置きたい、特定の趣味や特技を伸ばしたい、など、目的によって必要な支援や学び方は変わります。
また先述の「在籍校の出席として扱われるか」は最優先で確認したいところです。
各フリースクールは広く受け入れる体制が整っているからこそ、使用者側からの適切な選定が求められます。
保護者へのフォローが充実しているか
不登校生徒の保護者の中には「自分の育て方が悪かったのではないか」といった罪悪感や不安を感じている方も多いです。適切なフリースクールに子どもを通わせることは、そうした保護者の後ろ向きな気持ちを払拭させることにもつながります。
保護者への定期的な連絡や面談、相談の機会が十分にあるか、子どもの状況や悩みを一緒に考えられる体制かもチェックしたい項目です。
また希望する場合は、保護者同士の交流の機会があるかも確認すると良いでしょう。
その他の条件
- 立地、アクセスなど、距離、費用的に無理なく通えるか
- 学費や利用料
- 運営団体の実績や評判、信頼性
越谷市のフリースクール「SEIBISPACE_越谷」とは
「SEIBISPACE_越谷」は埼玉県越谷市にある、中学校への復帰から高校への進学を考えている生徒のためのフリースクールです。
市内の中学校とも連携しており、在籍中の学校の出席扱いになるフリースクールです。
実績のある成美学園グループが運営
「SEIBISPACE_越谷」は関東圏で25キャンパス(2025年4月現在)の通信制高校・サポート校を運営する成美学園グループによるフリースクールです。越谷校は2024年に開校しました。
高校の教育現場で培ったノウハウとグループ内の連携を強みに、生徒の挑戦を応援します。
夢を見つけ、挑戦する生徒を応援(教育方針)
「SEIBISPACE_越谷」は【自分の将来の夢を見つけたい】【自分の今ある夢に向かって挑戦したい】といった生徒の可能性を認めて、引き出し、応援することを掲げて活動しています。
具体的には午後から「夢授業」と題した、SEIBISPACE独自のカリキュラムを提供しています。各曜日で夢を叶えている専門家から様々な指導を受けられ、生徒の可能性を広げるきっかけをつくります。
▼「SEIBISPACE_越谷」の夢授業
- 音楽(ボーカル、ギター、ベース)
- 受験対策
- イラスト
- 動画編集
自分に合ったかたちで選べる3種の通学スタイル
「SEIBISPACE_越谷」には希望に応じて選べる3種類の通学スタイルがあります。
- エブリデイ コース
月曜日〜金曜日まで5日利用でき、規則正しい生活を送りたい人におすすめ。学習スペースとして、また、進路・就職対策などの指導も受けられます - 3DAY コース
月・水・金の3日間通学できます。在籍校と並行しての通学や、午後の決まった夢授業(ワークショップ)を受けたい人におすすめです - 1DAY コース
月曜日〜金曜日の自分で決めた曜日に通学できます。エブリデイ・3DAYコースと同様の学習サポート、午後の夢授業を受けられます。
埼玉県、越谷でフリースクールに関するよくある質問
最後に埼玉県内、越谷市内で通えるフリースクールを検討している方からよくある質問と、その回答をまとめます。
越谷市で不登校の相談ができる場所はどこ?
子どもに不登校の兆候が見られる際は、まずは学校に相談するようにしましょう。学校でも学校相談員やスクールカウンセラー(SC)などの専門家からアドバイスを受けられます。
また埼玉県・越谷市では以下の相談窓口があります。
相談先 | 相談内容 | 連絡先 |
---|---|---|
越谷市教育センター | 指導主事、教育相談員、スクールソーシャルワーカー(SSW)が不登校・登校渋り、学習、友人関係などの相談に対応 | ◯電話・子ども用:048-962-8500(ハートコール)・保護者用:048-962-9300048-962-8601 月~金曜日の9時〜19時土曜日の9時〜16時40分 (祝日を除く) ◯来所相談月〜土曜日 9時20分〜16時40分(祝日を除く、1回40分、要電話予約) ◯メール専用フォームから |
埼玉県立総合教育センター(埼玉県教育委員会)彩の国 よりそうみんなの電話・メール教育相談 | いじめ・不登校・性格・人間関係などの悩みや不安などの相談 | ◯電話・子ども用(無料):#73000120-86-3192・保護者用:048-556-0874毎日24時間受付 ◯メールsoudan@spec.ed.jp |
埼玉県教育委員会SNS教育相談 | 県内中学校に在籍する生徒などの悩みや不安に対し、県が委託したSNS相談に知見を有する民間企業の専門の相談員※ が対応 ※「つながる相談」(エースチャイルド(株)) | ◯LINE要LINE相談専用アカウントの登録(学校でQRコード、リーフレットを配布) 月〜金曜日の17時〜22時 |
子どもスマイルネット(埼玉県・子ども権利擁護委員会) | 子ども(原則18歳未満)に関わるすべての悩み、子育ての悩みやしつけの問題から、いじめや体罰などあらゆる相談 | ◯電話048-822-700710時30分~18時(祝日・年末年始を除く) |
フリースクールは希望すれば誰でも入れる?
一般的にフリースクールの入学に際して試験や必要な資格などはありません。ただし、スクールによっては年齢や居住地に制限を設けていることもあります。
フリースクールでも高校に進学できる?
はい、フリースクールに通っていても高校進学は可能です。
在籍中の学校と連携し、フリースクールへの通学が出席扱いとなれば、卒業や受験資格を認められるケースがほとんどです。
また受験対策をサポートしているスクールも多いです。
小学生・高校生もフリースクール通える?
埼玉県内、県西部エリアには小学生や高校生を対象としたフリースクールもあります。SEIBISPACE_越谷は主に中学生への指導を行っています。
フリースクールは学校復帰を目指さなくてはいけない?不登校は改善する?
スクールや施設の方針によります。必ずしも学校復帰を目指すスクールが多いわけではありません。
一方で学校復帰を最優先する場合は、越谷市内すべての小中学校に設置されている「さわやか相談室」や、教育支援教室(適応指導教室)「おあしす」などの利用も検討してみてください。
居住地以外の市や学区外のフリースクールに通える?
一般的にフリースクールの通学に居住地などの条件はありません。ただし、利用料金の助成を行っている都道府県、市町村では、居住地を助成の要件に定めていることがほとんどです。
発達障害向けのフリースクールはある?
埼玉県内にも発達障害の生徒の指導を積極的に行っているスクールや団体があります。
埼玉県や越谷市にフリースクールの通学にかかわる補助金、助成金制度はある?
2025年現在、埼玉県や越谷市にフリースクールの通学を支援する補助金、助成金制度はありません。吉川市など、市単位で助成を行っている市町村はあります。
フリースクールは「逃げ」ではなく「新しい選択肢」です。保護者として何が正解なのか自信を持てず、今は不安な日々を過ごされているかもしれません。ただ、子どもの笑顔を取り戻したいという思いは、皆さん同じなはずです。
SEIBISPACE_越谷は、子どもたちの可能性を認め、引き出し、応援する居場所です。少しでも関心を持っていただけましたら、お気軽にお問い合わせ・ご相談ください。